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    安倍晋三 「強い首相」は本物か 2013.7.29<3> 日経ビジネスの特集記事(17)

    • 2013.08.02 Friday
    • 11:51
    日経ビジネスの特集記事(17)

    安倍晋三 「強い首相」は本物か 2013.7.29

    「短命ドミノ」に終止符

    近年、首相はほぼ1年おきに代わってきました。

    前回、2006年9月に首相に就任した、安倍晋三氏は急病のため366日で退任しました。

    1年ですね。


    安倍氏の後を継いだ福田赳夫氏の在任期間は365日、麻生太郎氏は358日で自民党政権は

    終わり、民主党政権に移りました。


    首相の在任期間の短さは、民主党が政権を獲得しても変わりませんでした。

    鳩山由紀夫氏の在任期間は266日と最短で、その後菅直人氏は452日、民主党最後の

    首相の野田佳彦氏は482日で政権を自民党に譲りました。


    そこで、焦点となるのは、安倍晋三氏の再登場でこの短命内閣の流れに終止符を打つ

    ことができるか否か、ということです。


    安倍政権には難題が山積しています。大きく分けて3つあります。

    1つは、原発の再稼働問題です。

    「核燃料サイクルの継続や国のエネルギー基本計画に原発をどう位置づけるか

    など先送りしている問題への対応は待ったなしだ」。


    2つ目は、日中関係です。

    頻繁に、尖閣諸島周辺への中国船舶が接近し、周辺上空を中国籍と思われる

    偵察機が飛来しています。

    ジャーナリストの田原総一朗氏は次のように指摘しています。

    「今年中に日中首脳会議が実現できなければ、さすがに経済界も黙って

    いない。安倍政権の大きな痛手となる」。

    注目すべきなのは、今月15日終戦記念日に安倍首相が靖国神社を参拝するか

    どうかでしょう。

    「終戦記念日や秋季例大祭に安倍首相が靖国神社に参拝すれば、中国の

    態度硬化は必至。安倍首相は長年の懸案である靖国問題への対処も問わ

    れることになる」。


    3つ目は、憲法改正に絡む安全保障政策です。

    「安全保障政策では、年内にも安倍首相がこだわりを持つ集団的自衛権

    の行使容認を巡る議論に本腰を入れる可能性がある。ただ連立パートナー

    の公明党は行使容認に否定的。安倍首相は世論の反応を見極めながら

    日本維新の会などとの連携で議論を深める構えだ」。


    これら難題に立ち向かうには不安材料があります。

    1つは首相の権限が弱いことです。

    「大きな不安要素の1つは日本の首相の権限が弱く、制度に守られていない

    現状に変わりがないことだ」。

    「その一例が首相や閣僚が国会に縛りつけられていることだ」。

    さらに、

    「日本の政府には国会に提出した法案と予算案の審議の際にスケジュールを

    コントロールしたり、中身を修正したりする権限が実質的にないこと」。


    もう1つの不安材料は自民党内のガバナンス(統治)への懸念です。

    「自民党政治の代名詞だった派閥はほぼ有名無実化している。派閥の役割が

    急低下したことで派閥領袖クラスによる党内の調整機能や、統制システムが

    格段に弱まったのは否めない」。


    安倍政権は多くの難題を抱え、また獅子身中の虫とも言える自民党内の問題に

    どう取り組み、長期政権を持続することができるでしょうか?

    多数の国民が選挙で選んだ自民党政権ですから、仮につまずくことがあっても

    国民の責任であることを忘れてはなりません。


    日経ビジネスは、このように締めくくっています。

    「長きにわたる混迷を抜け、安倍首相による長期安定政権が見えてきた

    今だからこそ、強いリーダーを支える仕組みや国民の意識の変革が不可欠だ」。





     安倍晋三 「強い首相」は本物か を最初から読む




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    安倍晋三 「強い首相」は本物か 2013.7.29<2> 日経ビジネスの特集記事(17)

    • 2013.08.01 Thursday
    • 20:38
    日経ビジネスの特集記事(17)

    安倍晋三 「強い首相」は本物か 2013.7.29

    敵は「自民党」にあり


    先の参議院議員選挙で、大勝した自民党は左団扇かと思いきや、

    敵は外部ではなく内部にいることを思い知らされました。


    どういうことでしょうか?

    今回の選挙で初出馬した候補者だけでなく、再選を目指す候補や

    捲土重来を目指した候補者の中には、建設業界や農協あるいは

    医師会などの支援を受けて立候補した人たちがいます。


    決して少数ではありません。こうした当選者のバックの組織に

    不利になるような政策は取りにくくなったと言えるでしょう。


    安倍政権がTPP(環太平洋経済連携協定)への参加表明をした

    ことにより、日本は聖域なき関税撤廃に従わざるを得なくなります。

    TPP(環太平洋経済連携協定)には既に基本ルールが成立していて、

    日本に都合の良いルール変更は認められないからです。

    「日本にとって最大の焦点となるのが『聖域』扱いしているコメ、

    麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖の重要5分野の扱い。安倍首相は

    『守るべきものは守る』と強調するが、これらの分野をすべて

    自由化の例外扱いすれば品目ベースで見た自由化率は約94%に

    とどまる。高い自由化を目指すTPPだけに一部自由化へ譲歩を

    迫られる公算が大きい」


    アベノミクスの3本の矢、「金融政策」「財政政策」「成長戦略」

    のうち、「成長戦略」には規制改革が不可欠です。


    多数の規制を設け、既得権益を死守しようとする官僚組織と

    規制に守られている既述の各種団体に大なたを振るうことが

    できるのでしょうか?


    「『改革の一番の敵は自民党だ』。安倍首相は親しい関係者に

    こう漏らしている。党内の抵抗に屈し、TPPや規制改革論議を

    前に進めることができないと、アベノミクスや政権への期待が

    一気に剥げ落ちかねない」。


    さらに、消費税増税と社会保障制度改革は安倍政権の足かせに

    なりかねません。

    消費税増税で、過去、何度も景気が停滞してきたことを考慮すると、

    実施時期をどうするかは頭を悩ませることです。


    年金問題や健康保険の社会保障制度改革についても、年金支給開始年齢

    を先送りしたり、支給額を減らすということは、国民にとって大きな

    痛みになります。日本では国民皆保険制度が運用されています。

    本人3割負担を継続していくことは、国にとって大きな困難になっ

    てきています。そこで、混合診療の導入をアメリカ政府は日本に

    強く迫っています。

    混合診療は、3割負担以外に10割負担の医療を行おうとするものです。

    同じ病気をして入院する場合、富裕層は10割負担でも何の問題もなく

    支払えるでしょうが、生活にゆとりのない人たちは治療を受けることが

    できなくなるかもしれないのです。医療でも格差が生じることになります。


    「2014年4月に続いて2015年10月に消費税を10%に引き上げても、

    目標を達成することはできない。財務省内では早くも2020年にも

    消費税を10%からさらに引き上げるシナリオが語られている」。


    「来春にも70〜74歳の医療費の自己負担を1割から2割に戻すことが

    有力視される。年金については、来年の通常国会以降、与党が

    主導権を握る形で現行の年金制度をベースに検討に入る見通しだ」。


    次回は、「『短命ドミノ』に終止符」についてお伝えします。



     続きを読む


     安倍晋三 「強い首相」は本物か を最初から読む




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    安倍晋三 「強い首相」は本物か 2013.7.29<1> 日経ビジネスの特集記事(17)

    • 2013.08.01 Thursday
    • 20:37
    日経ビジネスの特集記事(17)

    安倍晋三 「強い首相」は本物か 2013.7.29

    ノートに記した「戒め」

    安倍晋三首相が時々眺める自筆のノートがあるそうです。

    第1次安倍内閣は2006年9月に高支持率を得てスタートしましたが、

    体調を崩し、あえなく1年間で終わりました。


    なぜ1年で終わったのか。どの判断が間違っていたのか。

    そんな胸の内を2007年暮れから書き綴ってきたものだそうです。

    「ノートには『情に流されてはいけない』という趣旨の戒めの言葉が

    記されているという」。


    短命で終わった第1次安倍内閣の要因は何だったのか?

    日経ビジネスは次のように指摘しています。

    「必要な情報が官邸に上がりにくくなり、首相〜閣僚〜各省庁

    とつながる縦の指揮命令系統が機能不全に陥ったことも政権の

    早期崩壊の要因だった」。


    官僚組織は、長年指摘されてきながら一向に改善されない

    縦割りのため各省庁との連携がうまく取れません。


    優れた民間企業であれば、横断の組織によって全体最適を

    追求しています。官僚組織にはそれができません。


    既得権益を死守することだけに血道を上げ、自分が所属する

    省庁のことだけを考えて働いています。それが国民の利益に

    資することがなくてもです。


    話が横道にそれたので戻します。

    「その(指揮命令系統が不全に陥った)反省を踏まえ、

    今回の人事で重視したのは『情より実務』。象徴が官邸の

    人事だ。前回は要の官房長官に『お友達』の1人で経済政策

    を頼る塩崎恭久氏を起用したが、今回は迷うことなく菅義偉

    (すが・よしひで)氏を充てた。第1次内閣の崩壊後も

    安倍首相の復活を後押ししてきた菅氏。(中略)

    永田町や霞ヶ関に張り巡らしたネットワークに基づく統率力や

    判断力を買ってのことだ」。


    菅氏を「司令塔」にしたことでどのような効果があったのでしょうか?

    1つは、

    「官邸を菅氏を軸に回す意図を明確にしたことで菅氏が司令塔として

    政権運営全般に目配りする体制が機能している」ことです。

    もう1つは、

    「菅氏を司令塔に情報収集と迅速な判断を下す体制を整備したことは、

    危機管理の面でもプラスに作用している。前回の内閣では相次ぐ閣僚の

    スキャンダルへの対応が後手に回り、それが内閣支持率急落の引き金

    となった。

    その苦い経験から、今回は菅氏が汚れ役を買って出て、早期の幕引き

    を図る場面が続いている」ことです。


    挫折の教訓を生かしているポイントとして、日経ビジネスはこのように

    指摘しています。

    「政策の優先順位を冷静に判断している点だ。

    第1次内閣では『戦後レジームからの脱却』を旗頭に憲法改正の手続きを

    定めた国民投票法の制定や教育基本法の改正など保守色の濃い政策を

    実現した。(中略)

    『自分がやりたいことと国民がまず実行してほしいこととがかみ合って

    いなかった』」。


    どう変わったのかを一言でいえば「理念先からリアリストへ」という

    ことになります。


    先の参議院選挙で大勝した自民党ですが、建設業界や農協、医師会などの

    組織をバックにして当選した議員が多数います。

    TPP(環太平洋経済連携協定)への参加を決定した安倍内閣にとって、

    このような団体の利害に直結する政策は推進しづらく、族議員の反対に

    遭遇することは避けられないでしょう。


    次回は、「敵は『自民党』にあり」と題してお伝えします。



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